1. | 開催日時 | :平成21年度9月14日(月)14:00~16:00 |
2. | 場 所 | :岡山理科大学11号館8階ラウンジ |
3. | 参 加 者 | :県内13大学21名 |
4. | 司 会 | :浅野 智 子(岡山県立大学附属図書館) |
5. | 書 記 | :水溜 友紀子(就実大学・就実短期大学図書館) :吉田 由香利(ノートルダム清心女子大学附属図書館) |
6. | 内 容 | :図書館システムについて、その構成や個々の機器の役割、用語などの基礎的な知識を身につけるとともに、簡単なトラブルへの対応を学ぶ。 |
(1) 開会 岡山県立大学附属図書館浅野智子氏(研修委員長)より開会の挨拶があった。 (2) 講演:図書館システムについて ~初級者編~講演者 林 成吾氏(岡山理科大学図書館事務室次長)I.図書館システムの構成図書館システムとは図書館業務をコンピュータで管理できるようにしたコンピ ュータシステムのことであり、ハードウエアとソフトウエアから構成されている。 ハードウエアは、コンピュータ、プリンター、バーコードリーダー、ICカードリ ーダーなどで構成されている。ソフトウエアは、仕様を一から組み立てて作り上 げていくフルカスタマイズの形から、基幹の部分は共通で、その他は各図書館で カスタマイズするセミカスタマイズの形となり、現在は、パッケージといわれる 全て元々作ってある形となっている。(i) 入門ハードウエア最初は、大型コンピュータ(ホストコンピュータ、汎用機、メインフレームな ど色々な呼び方がある)に専用端末やプリンター、テープ装置を専用線につない で構成されていた。次にソフトウエアをサーバー部分とクライアント部分に分離 したクライアント・サーバーモデルが出現、OSとしてUNIXを搭載したワークステ ーションが普及してきた。現在は、サーバーをデータベースサーバーとアプリケ ーションサーバーに分離し、クライアントも含めて3階層で分散処理するモデルが 主流となっている。次世代は、機能的にクライアントのPCにはインターネットの ブラウザだけがあり、あとの機能は全部サーバー上にあり、ネットワークを通し て使う形が次のバージョンになっていくであろう。(ii) 入門ソフトウエア図書館システムというのは、図書館業務をコンピュータで管理できるようにし たものであるが、大きく分けて業務系と利用者系のシステムがある。最近図書館 で対応が求められてきている機関リポジトリについては、パッケージに組み込ま れているものはなく、専用のシステムに連携するのが一般的となっている。(1) NACSIS-CATと自館の目録データベースについて最近では、図書館システムのパッケージのなかで、1つのクライアントでNACSIS -CATも使え、自館の目録データベースも使えることが普通となり、便利になった反 面、同じキーワードを検索した場合、NACSIS-CATと自館の目録システムでは異なる 検索結果がでて、NACSISには無いと判定してしまうことがある。これは、NACSIS-CAT の場合、分割できる言葉(複合語)は、スペースで分けて検索しないと中間一致では ヒットしないためである。複合語をつけて検索した場合は、前方一致の検索でしか ヒットしない、これがNACSIS-CATの仕様となっているのである。NACSIS-CATの仕様 と自館のデータベースを検索する仕様は、違う場合があるため、意識して検索しな いと登録されているデータを見つけることができない可能性があり、注意が必要で ある。(2) 夜間処理について夜間処理とは、業務が行われていない夜間にデータのバックアップやデータベー スのインデックスファイルの整合性をとるための再構築等の処理が行われることで ある。また、負荷分散とセキュリティの観点から、業務サーバーと検索サーバーを 通常は別の機械で稼働させており、その場合は、夜間処理の際に、当日作成が完了 した目録データのOPACで必要な部分を目録データベース(業務サーバー)から検索 データベース(検索サーバー)にコピーしている。このタイムラグにより目録が完 了した資料を棚に排架するタイミングとその資料がOPACに登場するタイミングをあ る程度同期させることができる。(3) 図書館システム応用編図書館システムは図書館業務の多くの部分を網羅しているが、業務内容も変わっ ていくため、欲しい帳票が打ち出せないことや、欲しい機能がないことがある。そ の場合、データをファイルに出力してExcelなどに加工し、帳票を作ることができる。 最近では、ファイル出力機能が各図書館システムにあり、ファイル出力した時点で Excelに読み込まれているのが一般的である。ただ、色々な項目を出したい場合、希 望の項目がその画面に無い場合もあり、その時は、UNIXサーバー上にあるファイル 出力機能を使って、一旦、サーバー上にファイル出力をしてFTPというソフトで自分 のPCにコピーしてExcelに読み込むという手順を行うことになる。(4) 応用例:蔵書点検での資料IDの読み込み蔵書点検の際は、ハンディターミナル以外に、ノートPCにバーコードリーダーを 接続して、資料IDをメモ帳に読み込む、Excelに読み込む、Perlなどで作ったプログ ラムで読み込む方法などがある。プログラムで読み込む場合は、資料IDの桁数、入力 範囲、重複読み込みのチェックが可能だが、ExcelでもExcelのなかの[データ]→ [入力規則]で、セルに読み込んだときにデータをチェックする機能の設定ができる ので、その機能を利用して、桁数の特定、エラーメッセージの表示、入力モードの設 定ができ、読み込んだ資料IDの桁数チェックや入力範囲のチェックを行うことができ る。(サンプルファイル参照) また、研究室などの備え付け資料を点検する場合は、研究室に備え付けられている 資料のIDファイルを作成しておいて、研究室で読み込んできたIDファイルをExcelの VLOOKUPという関数を使って比較する方法がある。(サンプルファイル参照) その時、Excel のオートフィルタ機能を使うと、(Excel→データ→フィルタ→オー トフィルタ)指定した条件に合うものだけをワークシート上に表示するということが できるので、例えば紛失図書のIDのみを簡単にリストアップすることもできる。 システム自体を使わなくても、ある程度似たようなことができ、今無い機能をExcel など利用して作り出すことが可能となる。II.トラブル対応PCのトラブルが起こる代表的な原因は、ハードの故障・配線の不良、ソフトの不具 合・設定ミス、ネットワーク障害、操作ミス・想定外データの入力によるものが多い。 実際の原因を特定するのは難しいが、業者に連絡する前に、可能な範囲で対応するこ とが求められる。 例えば、電源スイッチをいれてもPCが起動しない場合、本体やディスプレイの電源 ランプが点灯しているか、本体やディスプレイのコンセントが入っているか、ケーブ ル類がはずれていないか、FDが入ったままになっていないかなどを確認する。せめて、 これらを確認してから業者に連絡すること。またその時にPCの機種名、シリアルナン バー(通常ハードに貼られているシールに記載。S/N,製造番号, Serial Numberな どの後に記載されている)を確認しておくことが必要である。 また、エラーメッセージが表示された場合、必ずメッセージの内容を転記(もしくは ハードコピーを取る)して、どの画面のどのボタンを押したときに表示されたのかを 記録しておく(もしくはハードコピーを取る)ことが重要である。可能であれば、発 生した時点で業者に連絡することも重要である。 通常、業者にエラーメッセージについて問合せをする際には、メッセージの内容、 表示された画面、ホスト名を訊かれる。ネットワークに接続されているコンピュータ は、IPアドレスにより区別されるが、それは人間には分かりにくいので、分かりやす くコンピュータに設定した名前をホスト名という。Windowsの場合、ログオン画面の 「ログオン先」で「(このコンピュータ)」の前に表示されているのが、コンピュー タのホスト名である。III.基礎用語フォルダー、ディレクトリ、temp、tmp、IPアドレス、プライベートIPアドレス、グ ローバルIPアドレス、ポート番号、DHCP、NAT、NAPT、プロキシサーバーについて説明 がなされた。(別紙参照)最後に各大学のネットワーク環境、使用しているパッケージソフトによって、状況は全く違 ってくるので、分からないことは業者にどんどん質問することが大切である。また質問 したことやトラブル対応は記録を取り、蓄積して、確認できる状態にしておくことも重 要である。質疑応答(3) 閉会 司会者 浅野智子(研修委員長)より挨拶があり閉会された。 (4) 岡山理科大学図書館職員の案内により図書館を見学 以 上 *サンプルファイルについて 岡山理科大学図書館事務室次長 林成吾氏のご厚意により、Excelの蔵書点検サンプル ファイルをご提供いただきました。 岡山県大学図書館協議会のホームページ http://www.lib.ous.ac.jp/okayama.html の議事録・報告書のページにファイルをリ ンクしております。皆様、ファイルをダウンロードして是非ともご活用ください。質問(1) システムをバージョンアップする場合、別のシステムに変える場合に注意する点は何 でしょうか? 回 答 いろいろな図書館機能が追加されているので、機能面で色々なシステムを比較すると 良い。 また、問題となるデータの移行については、バージョンアップならこの点は心配ない のだが、別のシステムに変える場合は、データ移行がきちんとできるかどうか、今まで 使っていた機能があるかどうかを確認する必要がある。またデータ移行はきちんとした 仕様を作ることが重要である。 また、実際使っている大学に見学に行き、各社のシステムを比較する。その後デモ機 を借りて、使い勝手や機能を見てみる。ただ、使い勝手や欠点はやはりよく使い込んで みないと分からない。 質問(2) エラーメッセージが出た時にDOS画面でハードコピーがとれない場合はどうしたらよい か? 回 答 最近では、画面のバードコピーをとれるフリーソフトであるので、それを利用しハード コピーをとる。それで取れない場合は、手書きで記録するのが良い。 質問(3) エラーメッセージのカウントダウンするメッセージとずっと出ているメッセージとの違 いは? 回 答 カウントダウンが出る場合は、次の処理に移るのでカウントダウンしている。多くの場 合は、そのままでも問題ないが、わからない場合は、ハードコピーを取って、業者に聞い てみる。 エラーメッセージは、記録を取って蓄積して確認できる状態にしておいたほうがよい。